黄斑症(イエロースポット)
病原体:担子菌類
イエロースポットはベントグラスの茎葉部全体が均一な黄~黄金色であり、葉が太くなったりネジレたりせず、また異常分けつ(叢生)もない。根部はやや貧弱で根毛が少ない。ターフ上では夏期に4~6cmの黄色スポット、まれにリング状として現れるが褐変枯死には至らず、秋になり気温が下がってくると自然回復(治癒)する。
菌の主な生息部位
発生芝種・発生時期
発生生態
イエロースポットはベントグラスの茎葉部全体が均一な黄~黄金色であり、葉が太くなったりネジレたりせず、また異常分けつ(叢生)もない。根部はやや貧弱で根毛が少ない。ターフ上では夏期に4~6cmの黄色スポット、まれにリング状として現れるが褐変枯死には至らず、秋になり気温が下がってくると自然回復(治癒)する。経年的には発生量はいずれ減少していく。発生量にベントグラスの品種間差異はない。
高温性のピシウム菌が関与するとの報告があるが、ピシウム防除剤では不効である。原因はいまなお特定されていないが、担子菌類に有効な防除薬剤(ジカルボキシイミド剤、SDHI剤)で黄化スポットが消失(治癒)するので病原菌はピシウム菌ではなく担子菌類によるものと考えられる。一方、藻類(藍藻類)が出す毒素や鉄欠乏を引き起こす物質を出して黄化させるという説もある。
予防対策
グリーンの散水量を減らして乾燥気味に管理することで発生を少なくすることができる。施肥量が少ないと助長するといわれる。担子菌類に有効な薬剤を夏前に処理しておくと発生が抑えられる。
治療対策
病原菌は地下部に感染していると考えられるのでグリーンに穴をあけ(エアレーション)、その直後に水量を多くして(2L/m2以上で展着剤入り)上記の薬剤を散布する。あるいは穴あけができない場合は5L以上をジョウロで灌水しないと効果が現れない。ある種の殺菌剤の使用はイエロースポットの発生を助長するという。本病をイエロータフトと診断している場合が多く、間違えると防除薬剤も間違えることになる。
Envuの推薦防除方法
原因が不明であるが担子菌に有効なジカルボキシイミド剤やSDHI剤で消失した例があります。
参考写真
造成3年目の新設ベントグリーンに発生したイエロースポット(8月)
イエロースポットの根部(左)は健全(右)と比べるとやや短く貧弱である
大発生したイエロースポット(ベントグリーン 8月)
刈り取りの方向に沿って発生したイエロースポット. 病原体が伝播していると考えられる(ベントグリーン 8月)
個々の病斑が拡散し、不鮮明になったイエロースポット(ベントグリーン 8月)
イエロースポットの発生の差. 新しくソッドを入れ替えた場所(左側)のみに発生しているので病原体を持ち込んだと考えられる(ベントグリーン 8月)
イエロースポットの黄化葉の自然治癒. 発生しているスポットを刈り取り、スポット自然消失後に葉を観察すると切口は褐色になっているが正常に戻っている(矢印)
殺菌剤によるイエロースポットの治療効果. 中央枠内のスポットが消失している. 担子菌に効果のある薬剤の多水量散布が有効である