混合感染
病原体:2種またはそれ以上の複数の病原体が関与
混合感染とは2種類またはそれ以上の異なった病原体が同一の芝個体に感染している状態をいう。葉身や根など別の組織にそれぞれ異なった病原体が感染していても同一個体なら混合感染である。しかし、同一のグリーン内で別種の病原体が単独感染している場合は混合感染とはいわず、併発や混発として区別される。
菌の主な生息部位
発生芝種・発生時期
混合感染
混合感染とは2種類またはそれ以上の異なった病原体が同一の芝個体に感染している状態をいう。葉身とか根とか別の組織にそれぞれ異なった病原体が感染して いても同一個体なら混合感染である。しかし、同一グリーン内で別の場所に別種の病原体が単独感染している場合は混合感染とはいわず、併発や混発として区別 される。ただし同一パッチ内で別種の病原体が別の芝個体にそれぞれ感染している場合は厳密には併発というべきであるが、防除という観点からは混合感染とした方が対策をとりやすい。
発生生態
混合感染が起こるのは2種類以上の病原菌(体)の感染環境や感染時期が極めてよく似ているためである。たとえば、炭疽菌とブラウンパッチ菌の感染が重なる 時期があり、夏期には炭疽菌、ピシウム菌、細菌の3種が重なる。また、フェアウエイやラフではラージパッチ菌とゾイシアデクライン菌が、あるいは炭疽菌と ゾイシアデクライン菌が混合感染する。一般的にある病原菌の感染・発生時期が長い場合は混合感染するチャンスが多くなるといえる。このように混合感染は2 種類以上の病原菌が関与するが、どちらの菌が先に感染しているのかは判断が難しい。いままでに見つかった主な混合感染は11菌種による17種類の組み合わせが観察された。特にベントグリーンでの例が多く、ほとんど混合感染しているといっても過言ではない。さらに、発生症状(病兆)は両菌の中間ではなくどち らか一方になることが多く、他方は潜在感染のようになっている。このことは防除をする上では極めて厄介である。たとえば、ダラースポット菌とピシウム菌が混合感染している場合その症状はダラースポットである。
予防対策
発生時期を勘案して予防散布に心がけ、常に病原菌の密度を下げておくことが混合感染をふせぐことになる。
治療対策
症状からのみで診断・断定しないことである。有効薬剤を処理しても効果がないようなら混合感染を疑い、病害診断を依頼すること。混合感染していても単剤で 防除が可能な場合がある。たとえば、炭疽菌とダラースポット菌が混合感染している場合DMI剤を処理すれば両方の菌に有効である。しかし、炭疽菌とピシウム菌が混合感染している場合はDMI剤のみでは効果が出難い。
参考写真
症状は典型的なブラウンパッチであるが炭疽菌も感染している(ベントナーセリ 7月)
この黄褐色の葉枯れ症状には顕微鏡で調べると赤焼病菌と炭疸菌が混合して感染(ベントグリーン 8月)
典型的なダラースポット症状であるが根部にはピシウム菌も感染し、そのピシウム症状は出ずに潜在感染している(ベントグリーン 6月)
褐色のスポット症状のベントグラス(5月)にはダラースポット菌、炭疽菌、ピシウム菌の3種類が感染している.
この褐色葉枯れベントグラス(8月)からは炭疽菌、ピシウム菌および細菌の感染が認められ、このような混合感染になると薬剤による防除が極めて困難となる
フェアウェイ、ラフで認められたラージパッチ症状(11月)からはリゾクトニアとゾイシアデクラインの両方の菌が検出された. リゾクトニア菌にのみ有効な殺菌剤では芝は回復しない