樹下枯損傷
病原体:不明
フェアウェイ外側の切り土法面ラフに栽植されている樹木の下の芝(多くはノシバ)や雑草がその樹木を中心として大きな円形状に黄化~褐色枯死したり、またはベアーになっている。大きなフェアリーリング病にも見えるが周縁の芝は濃緑にならず、全体が黄化している。樹木の種類としてはマツ、シイ、ナラ、カシ、クヌギの類が多いようである。
菌の主な生息部位
発生芝種・発生時期
発生生態
フェアウェイ外側の切り土法面ラフに栽植されている樹木の下の芝(多くはノシバ)や雑草がその樹木を中心として大きな円形状に黄化~褐色枯死したり、またベアーになってしまっていることが多い。ベアーになったところはほとんどの場合樹木の根は浅く、むき出しになっている。土壌は常に乾燥状態であ る。樹木を伐採しても芝は回復しない。芝が枯れる直接の原因は乾燥による水不足である。大きなフェアリーリング病にもみえるが周縁の芝は濃緑にならず、全体が黄化している。プレイにはほとんど差し支えないが、遠方からでも見え、しかも芝の生育期間中でも回復することなく継続し、毎年20~30cm外側に拡 大していくので極めて美観を損ねている。樹木の種類としてはマツ、シイ、ナラ、カシ、クヌギの類に多いようである。 発生の共通点は切り土法面に多く、盛り土法面はほとんど出ていないこと、土壌中には糸状菌(カビ)の塊りがしばしばみられること、および樹木の下または以前樹木のあった場所に円形に発生していることである。 発生原因は不明であるが以下のように推測されている。いずれも確証はなく科学的な究明が待たれる。
1. フェアリーリング病の一種である
2. 樹木の根部に生息(共生)しているある種の糸状菌が関与している
3. 樹木が生育競争のためアレロパシーを出して芝を枯らしている>
4. 害虫(カイガラムシ、アブラムシ、コガネムシ、下に落ちた樹木茎葉害虫)の被害による
5. 樹木と芝の水分競合により土壌が乾燥して芝が枯れ、雨で表面土壌が流亡する
予防対策
いまのところ不明
治療対策
張り芝、土壌の入れ替え、浸透剤入り殺菌剤の多水量散布などが試みられているが、一時的に回復してもいずれは(1~6年で)再発するようである。これらのうち、土壌を掘り出し、有効なフェアリーリング防除剤を処理後、新しい土壌を入れてその上に張り芝することで成功している例がみられる。春期(5~6月) に暖地型芝センチピードの厚い張り芝も長持ちするといわれている。また、活性炭・土壌の撹拌・施肥の体系処理で成功した例も報告されている。
Envuの推薦防除方法
いまのところ発生原因はよくわかっていません。DMI剤の多水量散布で回復したという例があります。
参考写真
マツ樹を中心として日本芝に発生した初期の樹下枯損症(6月)
褐色に症状が進行した枯損症(7月)
樹木を中心としてリング状に芝が枯れている(7月)
樹下枯損症が融合して巨大なベアになった場合遠方からでも確認でき、著しく美観を悪くしている(8月)
伐採されて樹木が無くなっても、なおも枯死円形パッチとして残っている(7月)
樹木が無くても発生した比較的小さなパッチ(6月)