春編
【NEW】シバツトガやスジキリヨトウなどのチョウ目害虫に対する殺虫剤の散布はいつ頃から始めたほうが良い?殺虫剤も発生前の予防散布が効果的?
シバツトガやスジキリヨトウなどのチョウ目害虫に対する殺虫剤散布は発生初期が基本です。幼虫のサイズが小さい、つまりは若齢幼虫のほうが殺虫剤の効果は高くなります。
関東地方南部を想定した場合、チョウ目害虫の幼虫に対する殺虫剤の最初の散布適期は1化期の成虫が産卵した卵が孵化した5月下旬から6月上旬頃が目安になります。しかし、害虫の発生消長はその年の気温によって大きく変動しますので、あくまでも目安としてください。
繰り返しになりますが殺虫剤の散布タイミングは害虫の発生初期になります。基本的には予防散布よりも発生初期の散布をお勧めします。ただし、発生初期の散布のためには日々の観察が欠かせません。成虫の飛翔数、幼虫の有無、食害の有無を毎日よく観察し、発生初期の散布適期を逃さないようにご注意ください。
なお、シバツトガやスジキリヨトウなどは幼虫態で越冬しますので、早春から幼虫を見ることがあります。しかし、早春に食害が問題になることはほとんどありません。
毎年、チョウ目害虫により甚大な被害を受けている、トーナメント等の大きなイベントによって食害の発生は絶対に許されないなどの事情がある場合は、食害が発生する前の予防散布も選択肢の一つだと考えられます。その場合も、害虫の有無を確認してから散布するようにしてください。
【Envuがおすすめする殺虫剤】
ベントグリーンの殺菌剤はいつ頃から散布し始めるべき?
病害予防の基本は発生前の予防散布です。晩春から初夏にかけてベントグリーンに発生しやすい病害は、ダラースポットと炭疽病が考えられますが、どちらも発生前の予防散布で菌密度を下げておくことが重要です。
その年の気温や降雨状況にもよりますが、関東地方南部を想定するとゴールデンウィーク明けごろから殺菌剤を散布することをおすすめしています。また、4月の気温が高い場合には、4月にベントグラスの病気に対する抵抗力を高めるような殺菌剤も有効です。
【Envuがおすすめする殺菌剤】
4月散布:シグネチャーWGD
5月散布:ダラースポット予防ならミラージュフロアブル、炭疽病予防ならミラージュフロアブル+プロテクメートWDGの混用散布
春のラージパッチ防除の適期は?
ラージパッチ防除は発生前の予防散布が重要です。一般的に春のラージパッチ防除の適期はソメイヨシノのお花見頃と言われていますが、気象条件や土壌条件によって大きく変動しますので、一つの指標と捉えてください。
近年は4月、5月に乾燥状態が続くことが多く、4月、5月にラージパッチがほとんど発生しない事例が見られるようになってきました。一方で、梅雨時期のラージパッチは依然として多くのゴルフ場で発生しています。早春にラージパッチ対策の殺菌剤を散布した場合、梅雨時期には残効が切れており梅雨時期のラージパッチを十分に抑えられないケースも見受けられます。
梅雨時期のラージパッチ防除に苦労しているコースでは、殺菌剤の散布タイミングを晩春~初夏ずらしてみるのも一つの方法ではないでしょうか。
【Envuがおすすめする殺菌剤】
春~初夏に日本芝で気を付けるべき病害はラージパッチだけ?
春に日本芝に発生する病害の代表格はラージパッチですが、それ以外にも疑似葉腐病(春はげ症)、ゾイシアデクライン、ネクロティックリングスポット病、ダラースポットなどの発生が懸念されます。
そのうち、疑似葉腐病(春はげ症)、ゾイシアデクライン、ネクロティックリングスポット病は感染時期が前年の秋になりますので、秋に登録のある殺菌剤の予防散布が重要になります。ただし、ゾイシアデクラインやネクロティックリングスポット病は春の殺菌時散布も有効であると言われていますので、ゾイシアデクライン等の発生が見られるコースでは、春にもゾイシアデクラインに登録のある殺菌剤を散布することをお勧めします。
一方で、春~初夏にかけて発生するダラースポットは春~初夏の殺菌剤散布で対応可能です。ノシバのラフに発生することもありますが、コウライシバのフェアウェイやティグラウンド、グリーン周りのアプローチエリアでの発生のほうが多くなります。特にティグラウンドやグリーン周りに発生したダラースポットはプレーヤー全員の目に触れることになりますので、防除することをお勧めします。
多くのゴルフ場で春のラージパッチ防除のための殺菌剤を散布していると思いますが、ラージパッチだけでなく、ゾイシアデクラインやダラースポットにも効果のある殺菌剤を選択してみてはいかがでしょうか。
【Envuがおすすめする殺菌剤】
・ゾイシアデクライン対策にはクルセイダーフロアブル
・ダラースポット対策にはオブテインフロアブル、クルセイダーフロアブル
日本芝の萌芽の状況があまりよくない原因は?
萌芽や初期生育不良を起こしやすい最も大きな要因は遅霜です。春先の萌芽し始めた頃に霜に当たったり、萌芽後に急激に冷え込む朝があったりすると、日本芝の生育が遅くなることがよくあります。
また、病気によって萌芽してこないこともあります。毎年、同じ場所の萌芽が遅れたり、不定形のパッチ状に萌芽が遅れたりする場合には、ゾイシアデクラインなどの病気に感染している可能性がありますので、一度病害診断を行ってみることをお勧めします。
除草剤の影響も考えられます。特に雑草の防除効果が高い長期残効型の除草剤を連続して使用している場合、日本芝の生育が影響を受けることがあります。日本芝の根やほふく茎の状態を確認し、根が「たこ根」になっていたり、複数のほふく茎が地上部に飛び出していたりすると、芝生が除草剤の影響を受けている可能性が高いです。
春の除草剤を検討する際には秋に散布した土壌処理剤の作用機作を確認し、それとは異なる作用機作の土壌処理剤を選択することをお勧めします。
【Envuがおすすめする薬剤】
・ゾイシアデクラインにはクルセイダーフロアブル
・春の除草剤(土壌処理剤)はフルハウスフロアブル
ラージパッチ用の殺菌剤を散布した後に雨が降ったが問題ないか?
散布終了後から降雨開始時までの時間によります。散布した薬剤が十分に乾いた後の降雨であればそれほど心配する必要はありません。
しかし、薬剤が乾く前に雨が降り始めていたり、散布後数日以内に1時間に50mmを超えるような激しい降雨があった場合には、薬剤が流亡している可能性がありますので注意してください。
薬剤の効果が薄れてラージパッチが発生する可能性がありますので、日々の観察を入念にし、発生が確認されれば追加での補正散布を行うことをおすすめします。
【Envuが補整散布におすすめする殺菌剤】
・クルセイダーフロアブル
GW前後にコガネムシが大発生して困っている。防除方法は?
ゴールデンウィークごろに成虫が飛翔するコガネムシはウスチャコガネかヒラタアオコガネが主になります。成虫に対しては登録のある殺虫剤を散布すればある程度の効果は期待できますが、防除の基本は幼虫に対しての殺虫剤散布になります。特にヒラタアオコガネは幼虫の期間が短く、夏の終わりごろには成虫になってしまいますので注意が必要です。
ウスチャコガネ、ヒラタアオコガネともに殺虫剤の散布タイミングは5月下旬から6月上旬頃です。芝生に発生する他のコガネムシ類とは防除適期が異なりますのでご注意ください。
Envuがお勧めするコガネムシ用の殺虫剤タフバリアフロアブルは、ウスチャコガネやヒラタアオコガネの防除適期である6月の散布で、ウスチャコガネやヒラタアオコガネはもちろんのこと、梅雨時期以降に食害が問題になるセマダラコガネやマメコガネの幼虫までしっかり防除することが可能です。
コガネムシ成虫の大発生だけでなく、幼虫による食害でもお困りのコースでは、タフバリアフロアブルの年1回処理をおすすめします。
【Envuがコガネムシ対策におすすめする殺虫剤】
・タフバリアフロアブル
混用できない薬剤はあるか?
殺菌剤のシグネチャーWDGとプロテクメートWDGは混用できませんのでご注意ください。
また、シグネチャーWDGは溶液が強酸性となるため、混用できない薬剤が複数あります。その他の薬剤でも言えることですが、初めて混用する前には事前にバケツ等で混用試験を行い、凝集や沈殿などが起こらないか確認してから混用するようにしてください。
なお、どの薬剤も基本的には他の薬剤と混用することを想定して作られてはおりません。混用して凝集や沈殿が起こらなかったと言って、効果が十分に発揮される訳ではありませんのでご注意ください。
こちらのページもぜひご参照ください→「殺菌剤混用可否表」
毎年ケラが発生して困っている。防除方法は?
ケラは初夏と早秋の年2回、地上部付近で活発に活動します。芝生の根を食害しますが、食害による被害はあまり見られません。むしろ、ケラが活動することによってできる生息孔が、美観の低下やプレイイングクオリティーの低下をもたらして大きな問題になります。
また、ウィンターオーバーシードを実施する現場では、ペレニアルライグラスの播種時期とケラの活動時期が重なるため、ケラの活動によってペレニアルライグラスの幼根が切断されてしまい、均一な発芽を妨げることも大きな問題になります。
Envuがケラに対しておすすめする殺虫剤トップチョイスフロアブルは、ケラに対して高い防除効果を示すとともに、シバツトガに対しての防除効果も期待できます。低薬量、少水量(散布水量200ml/㎡)でも十分な効果を発揮しますので、ケラの生息孔が複数見え始めたタイミングで、トップチョイスフロアブルの散布をおすすめします。
病害診断の利用方法と費用を知りたい
病害診断は診断する芝生をカップで抜き取り、専用の申込用紙とともに弊社提携の試験室に送っていただくことになります。費用は無料です。芝生サンプルの送料のみ、ご負担をお願いいたします。
病害診断の申し込みは以下の手順をご参照ください。
① 病害が疑われる部分をカップ切りで抜き取る
深さは3cm程度あれば十分です。
病害箇所と健全箇所が半分程度ずつ入るようにしてください。病害箇所の中心で抜き取ったり、芝生がほぼ枯死している場合、診断できない場合があります。