2020年のベントグリーンにおける病害診断結果
Envuでは病害診断のご依頼を承っています。2020年は暖地型芝草で131検体、寒地型芝草で471検体の病害診断を行いました。2017年の病害診断数は暖地型芝草で115検体、寒地型芝草で511検体、2018年は暖地型芝草で118検体、寒地型芝草で584検体でした。2019年は暖地型芝草で113検体、寒地型芝草で460検体でしたので2020年は2019年と同様に寒地型芝草の病害診断数が少なかったことが伺えます。ここでは、2020年の全国の気象条件と、主に寒地型芝草の病害診断結果をご紹介します。
///// 下の図は2020年の全国の降水量、平均気温、日射量を地域ごとにグラフにまとめたものです。このグラフより以下の傾向が見えてきました。
// 全国的に1月~3月の気温が高く、暖冬傾向であった
// 一方で4月は例年並みか例年より気温が低かった地域が多く、動き始めた芝生にとっては大きなストレスになったと推察される
// 東京では4月の降水量が極端に多かった
// 5月、6月は全国的に気温が高めに推移していた
// 7月は北海道以外の地域では例年以上の降雨があり、日射量も少なかったことからベントグラスは徒長し、表面が軟弱化しやすい気象条件となった
// 8月に入ると一転して気温が高くなり雨も少なかったことから厳しい夏となり、9月に入ってからも気温が高い状態が続く地域が見られた
// 11月は例年よりも気温が高い地域が多く、関東以西では11月、12月と降水量が少ない状況が続いた
///// 次に、2020年の寒地型芝草の病害診断数のグラフを示します。
// 夏の診断数が最も多いのは例年通りです
// 炭疽病と細菌病の発生数がシーズンを通して多いのはここ数年の大きな特徴です
// 2020年は4月の病害診断数が例年よりも多くなりました。1~3月の気温が高かったのに対し、4月の気温が低かったことがベントグラスのストレスとなっていたことが、病害診断数の結果からも伺えます
// 全国的に長雨に悩まされた7月や、気温が高く降水量が少なかった8月は診断数は多いものの、突出して何かの病害が多発したという傾向は見られませんでした
///// 次に、年間を通して発生量の多い炭疽病と細菌病と炭疽病について、過去の診断数と比べてみます。
// 炭疽病、細菌病ともに過去6年間と比較すると突出して診断数が多かったわけではないことが分かります。
// ただし、炭疽病、細菌病ともに9月の診断数は2014年以降で最も多くなっています。
// 7月の長雨と8月の猛暑は乗り越えられたけれども、9月の残暑で最後に病気を発生させてしまったコースもあったのではないでしょうか。
///// 様々な気象条件に対応できる管理が求められています。
// 過去の気象データを振り返ってみると、2017年は7月に猛暑となり、2018年は西日本を中心に7月の大雨と8月の猛暑に見舞われました。2019年は全国的に5月の日射量が多く9月は厳しい残暑になり、2020年は暖冬、4月の低温、7月の長雨と8月の猛暑など、毎年全く違った気象条件を示しています。
// 毎年目まぐるしく変わる気象条件に左右されないベントグリーンを作り上げるには、猛暑にも冷夏にも長雨にも乾燥にも耐えられるような、丈夫で健全なベントグラスを育てる以外に方法はありません。
// そのためには、伐採や剪定による風通しや日射の確保、更新作業、目砂、施肥などの適切な日常管理が欠かせないのは言うまでもありませんが、Envuがおすすめしているストレスガード製剤予防散布プログラムも、健全なベントグリーンの維持管理の一助になります。
// ベントグラスが高温多湿による影響を受け始める前から、シグネチャーWDGを中心とするストレスガード製剤を継続的に使用することをおすすめします。
// ストレスガード製剤についてはこちらから
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